家族との思い出があふれるすまいを隠れ家的な空間としてリフォーム。

 紅葉が美しい葉山の里山にI様邸離れ家(古民家レストラン)を訪問しました。丁度その日は全ての工程が終了して引渡式のテープカットが行なわれ、笑顔あふれる取材となりました。

 

 建物は築約150年の歴史を持つ古民家で、I様のご両親が横浜にあったこの家を葉山へ移築するとともに、東京から越して来られました。のちにお母様のお住まいにと一部を敷地の奥へ再移築したのが現在の離れです。お母様が亡くなられたのち、遺言により5年間ドイツやバングラディシュからの留学生に無償貸与し、現在は大勢でくつろげる古民家レストラン「桃花源」として活用されています。

 

 「留学生達はとてもきれいに使ってくれていました。今では皆立派に活躍しています」とI様は母親のような表情で誇らしげです。今回のリフォームは、「古くて味わいがあるので手を加えたくなかったのですが、基礎に不安を感じました」と、ご家族の思い出がたくさん詰まった特別な家を永く保つための決心だったようです。「安心できるしっかりした基礎工事が一番の希望で、そのために腕のよい大工さんがいる工務店を探しました。偶然手にしたチラシで斎藤工務店さんの住宅見学会へ行き、納得して契約しましたが、決めては担当してくださった榧谷さんのお人柄です」とI様。

 

 屋根、梁、柱、土間には手を加えず、土台となる基礎を改修、バス、キッチン、トイレなどの設備が新しくなりました。玄関口に黒い小石を敷き詰めた広い土間があり、中央のダルマストーブをベンチや椅子、上がり框が囲んでいます。訪れたお客様は一様にここに集まり、夜明けまで語り合う…。そんな魅力に満ちています。 

 

 メインルームは二間の和室を一部屋にして赤松の床になりました。木枠のガラス窓からサッシに変わり、隙間風を防いでいます。 立地としても、隣家と距離のある空間が開放的で、向かいの山の紅葉や海の向こうに富士山を望む贅沢三昧な景色を独り占めです。I様は毎日早朝に草取りをしたのち、「桃花源」の仕込み。娘さんと二人でてきぱき息の合った仕事をこなし、ケータリングの配達にも出掛けます。そんな毎日の疲れを癒やすのは少々のお酒と里山の空気。「ここは葉山のチベットと言われるのよ」と笑いますが、鄙びた趣が魅力です。元ミス日本で年を重ねてもなお美しいI様は、留学生やさまざまなお客様を受け入れ、軟弱な若者を叱る肝っ玉母さんでもあります。